野湯というのは、人の手が入っていないからこそ魅力的なのである。
しかし、こうした温泉を愛する人たちによって
守られているということも忘れてはならない。
「平成9年の台風19号の土砂流でへびん湯は崩壊しましたが、
ここに『へびん湯』を愛する有志により復元いたしました」
看板にこう記されているへびん湯は、
明響温泉からデコボコの山道を登り、
恵比寿神社を右手に見ながらさらに進んで、
「内山浄水場」を過ぎたところ。所要時間は車で約20分。
そこから少し歩いた渓流のほとりの古い人工的な石組みの先にある。
温泉好きには比較的ポピュラーな湯だが、新しく脱衣所も設けられており、
きれいに整備されていたのが印象的だった。
渓谷に自噴した単純泉を上流からパイプで岩組みの上下2段の浴槽まで引いてある。
たぶんこの有志の方々が造られたのだろう。
湯は適温で透明、弱い薬味、無臭である。
ウグイスがさえずり、風による笹の葉擦れの音も耳に心地よい。
温泉を愛する人たちによる好意がひしひしと伝わり、嬉しくなった。